2017年6月12日月曜日

エンドコンテンツ その2

商品を提供する側としてエンドコンテンツとどう向き合っていくかは正直難しい問題です。

ゲームではなく園芸業界の話ですが、その中でも東洋ラン(主に日本のラン)や山野草(野に生える自然の花)業界は自分にとってもなじみの深く30年以上も付き合っている世界なのでその点については語ることもできます。
家が植物の生産者で小学生の頃から植物に興味がありました。
ちょうど自分が小学生の頃に東洋ランブームというものがやってきました。盆栽のブームが去り、多くの園芸家がこぞってランを買い集めたものです。自分も小学生の頃に父親に1本5万円ほどするランを買ってもらったことがあります(今なら数百円ほどの価値です)。当時は毎年のように新しい品種が発見され、どんどんと値段が上がるいわばバブル状態でした。それがある年を境に急速に暴落し、ブームは去ってしまいました。ブームの頃は野生で稀に見つかる変異個体を集めていたのですが、人工交配によって人為的に品種がつくれるようになった途端、商品に価値がなくなってしまったのです。新しいものを求めていたのは消費者自身であったにもかかわらず、それが安定的に量産されるようになると途端に消費者は興味を無くしてしまったのです。

消費者の要望に対応し続けた結果、その業界自体を潰してしまったのがこの業界の現実です。技術が進めば消費者の要求を答えられるようになり、業界がより発展するはずだったのに現実は真逆でした。東洋ランブームの後、今度は山野草でも同じようなブームと衰退を繰り返しています。

「消費者の要望」とは言いますが、趣味の世界ではヘビーユーザー(マニア)の要望の事です。ライトユーザーは人数は多くても大して要望を出しません。そして、ヘビーユーサーの要望は声が大きいため業界に大きく影響します。ヘビーユーザーの要望に応えれば短期的には利益を出すことができますが、要望に応えれば応えるほど、新規ユーザーはが入りにくい閉鎖的な環境が生まれてしまいます。そして、ヘビーユーザーもいずれはその世界から去っていきます。もうそうなったら手遅れです。

結果的に我々が生き残る手段のして取った方法は、ヘビーユーザーの切り捨てでした。正直これが正しい選択だったのかどうかは判りませんが、ヘビーユーザー向けの商品ばかりを扱っていたところが次々と倒産・廃業していったこと考えれば仕方がない事です。趣味を対象にした商売で、一番失敗しやすいのが作り手がヘビーユーザー目線になってしまう事だと思っています。
商売を長続きさせるには「人を代えるか、物を代えるか」と言われます。前者は初心者を、後者はヘビーユーザーを対象にした経営戦略なのですが、その両方のバランス感覚を持ち続けなければ長続きさせるのは困難です。

0 件のコメント:

コメントを投稿