2017年11月8日水曜日

Pathfinderゲームマスターガイド4.5 -シナリオ2-

4-4.探索等のイベント
 イベントという事ですが、実質的なメインストーリー部分です。もし、ダンジョン探索がメインであれば、通路や部屋1つ1つが「イベント」という形になります。
 例えばダンジョンでのイベントには以下のようなパターンがあります。

a.戦闘
 イベントでの戦闘は指向を凝らしたものを用意しても良いでしょう。部屋に入ったら単純に強い敵が出て来て倒すだけでは単調になってしまいます。つり橋を渡っていたり崖を登っている最中に敵が出てくるなど変化を加えると良いでしょう。もちろん、PLが慎重に先行して偵察をしていれば不測の事態で敵と対峙する必要はなくなるでしょうから、戦う以外の能力も戦闘に生かすことが出来ます。こういった不利な状況下での戦闘を用意する場合、悪条件を回避する手段は用意しておいた方が良いです。
 不利な状況下での戦闘が続くとストレスが貯まりますので、戦闘回数が多い場合はスタンダードな戦闘を織り交ぜておきましょう。

b.罠
 罠は戦闘に組み込むことも出来ますが、単独で使用することも可能です。
 罠はPCに解除してもらうための罠と引っかかってもらうための罠があります。前者の罠はかかってしまうと危険だが解除は容易であったり、回避手段があったりします。後者の罠は気が付かずに引っかかりやすいですが、影響は比較的小さいものにします。後者の罠を使用する場合は途中のイベント後半に持ってきます。罠の威力はともかく、あまり序盤から引っかかりやすい罠を用意するとPLが警戒して慎重になりすぎ、ゲームスピードが低下します。
 引っかかりやすて危険な罠はデストラップになるので少なくとも低レベルシナリオでは危険すぎます。ある程度レベルが上がればありでしょうが。(高レベルシナリオはキャラクターのレベルが高くデータ上に強いだけでなくプレイヤーも経験を十分に積んでいるものとしてプレイしますので。)
 また、罠の中には〈装置無力化〉の判定で解除するものだけでなく、パズルやクイズのような要素の罠を用意してもよいでしょう。もっとも、こういった単純な判定では解除できないような罠の場合、PLが閃かない限り解除できないという事態がしばしば発生するため、迂回ルートを用意したり力押しで突破可能な方法を用意するなどの失敗時の予防線を張っておく必要があります。
 もちろん、本来〈装置無力化〉で解除する罠でもPLのアイデア次第で他の方法で解除できても良いと思います。GMが思いつかなかった手段で解除可能と認めるなら、その技能判定は〈装置無力化〉より易しくしたほうが良いでしょう。

c.安全なイベント
 ダンジョンの部屋だとしても何も起きない部屋は用意すべきでしょう。もちろん、本当に何もないわけにはいかないので、こういった部屋もほかの部屋同様状況描写をしたり、情報収集可能な手がかりなどをそこに配置します。
 コンベンションのような限られた時間ですと、PLはどうしてもメタゲーム的に「何も起きない部屋はない」と思いがちですので敢えて安全なイベントを用意します。どちらかというと途中のイベント前半から中盤に用意し、「部屋に入る前に戦闘準備を毎回行う」という状態を起こさせないようにします。
 ダンジョンの通路でも戦闘や罠を用意するつもりであれば、常に通路も況描写をしなければなりません。トラブルが起きる時だけ描写すると不自然になってしまいます。


 また、イベントは3~6個としましたが、これは、戦闘が発生するイベントは30分、それ以外のイベントは10程度を考慮し、上記のabcを組み合わせて使用しますので、例えば戦闘するイベントを2つ、それ以外を3つ用意すると1時間半必要だという事になります。
 キャンペーンのような時間の十分あるプレイのときであればダンジョンでも複数の部屋を自由に行き来しながらじっくり攻略するといったプレイが可能ですが、コンベンションの場合は時間制限があり、そうもいっていられませんので、必要以上に余分な部屋を探索させないような仕組みが必要です。(かといって、完全な一本道にしてしまうと何らかの理由で行き詰った時に攻略不能になるのでリスクが大きいです。)

 例1.途中で枝分かれするダンジョンを用意します。その分岐は最後には合流するのですが、合流地点では枝分かれした別のルートにはクライマックス戦闘前に逆流しないような仕掛けを施しておきます。(片方からしか開けられない扉など)

 例2.ダンジョンに10個のイベントを用意し、そのうち重要な5つのイベントを消化した時点で最終イベントが強制的に発生してクライマックス戦闘に移行します。


4-5.クライマックス戦闘
 シナリオにおけるメインディッシュです。この戦闘は変則的な戦闘が多いイベントによる戦闘とは異なり、準備万全で全力で戦う戦闘を用意します。地形効果を存分に用いた戦闘では全PCの能力を存分に生かすことはほぼ不可能であり、不完全燃焼しやすくなります。そこで最終戦闘は完全燃焼してもらうために敵は強めにする代わりに、準備時間を認めます。特にコンベンションは1回のシナリオでキャラクターの能力を出し切らせないといけないため、多少不自然ではあるのですがメタゲーム的にラスボスと戦うことが戦闘前に判明したほうが良いのです。
 キャンペーンではコンベンションに比べるとそこまで露骨にする必要はないものの、基本的に1回のプレイの最後の戦闘は完全燃焼してもらった方が楽しんで帰ってもらえますので、強い敵と全力で戦うというスタンスで敵を用意した方が良いでしょう。

 なお、レベルにもよるのですが高レベルになればなるほど準備済みでの戦力は非準備状態に比べ圧倒的なものになりますので、それを考慮して数を多めに用意する必要があります。レベルが低いうちは1,2ラウンドの呪文の準備程度の差ですが、ある程度レベルが上昇すると1ラウンド目から範囲攻撃呪文を使用するかどうかなど戦術が大きく変わって来るのです。


5-1.エンディング
 コンベンションの場合、クライマックス戦闘が終わったら場面を切り替えて、エンディングのイベントを行います。
 本来ならボス戦ですべて出し切って帰り道の事を何も考えないというのは不自然ではあるのですが、時間の都合そうせざるを得ませんし、リアリティを求めて帰り道をやってしまうとゲーム的には蛇足になってしまうのが現実です。なお、キャンペーンの場合、時間があれば未探索の部屋を調べたいとも思うでしょうし、帰り道もしっかりプレイしても良いです。

 また、コンベンションで特徴ルールを使用している場合であるなら、シナリオ中にこのシナリオ用に用意した特徴の伏線を回収しつつ個別のエンディングを簡単に行っても良いでしょう。もともとこの手法は和製TRPGで行われているものですが、特徴ルールを使用すればこのシステムでも似たような演出を行うことが出来ます。

5-2.感想戦と事後処理
 これは時間があったらでよいですが感想戦を行います。GMとPLで実際にプレイでの良かった点などを話し合うことで、GMは次のシナリオのアイデアを集めることが出来ますし、おなじシナリオを別の場所でする機会があるならば、よりシナリオに磨きをかけることが出来ます。また、PLもより経験を積むことが出来ます。
 キャンペーンの場合、ここで次のシナリオの導入をしてしまう方法もあります。次の目的地などをあらかじめ決めておけば、GMは無駄に沢山のシナリオを用意せずともPLの意向に沿ったシナリオを組むことが出来るからです。


 これで大体のシナリオの組み立て方は以上です。抽象的に書いているので判りにくかったかもしれませんが、こういった組み立て方をすれば80点のシナリオならそれほど難しくはないです。
 しかし、100点を目指すとなると定型のシナリオ構成では限界があります。熟練者ぞろいのPLと遊ぶには彼らと共に切磋琢磨していただきたいと思います。
 なにより、本当に楽しんでもらうシナリオを作るためにはテストプレイをしたり、同じシナリオを手直ししながら何度もマスタリングするのが一番良いでしょう。

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