2017年11月19日日曜日

バラ業界の低迷について考える

 ここ2年程前から急激にバラの売り上げが落ちてきています。正直、自分の所でも売れずに残ってしまう事態となっています。実のところこれほど売れ行きが低迷している状態なのはここ数十年でもないと父も言っています。 
 バラが売れない要因はいくつか考えられます。

1.根本的に景気が良くない
 実は昔から景気が良くなるとバラやバラ関連商品の売り上げが上がる事が経済学的にも言われています。景気が良くなったと政府や経済界が言ったとしても、実態が伴っていない証拠でもあるといえます。

2.バラ園などの公共・半公共事業が終了した
 数年前まで10年間ほどバラ園が全国各地で作られました。こういった公園などへの苗供給のため生産量が非常に多くなったものの、そういった事業による新植がなくなり、補植だけになって苗が過剰になっていると思われます。とくに最近は生産農家が大規模化したため過剰供給になりやすい傾向にあります。

3.品種や販売方法の停滞
 以前に比べ種苗法などの取り締まりが厳しくなり、また育種業者が権利を長い期間主張するようになったため、低価格なノンパテント商品の品種が入れ替わらなくなってきたことは間違いないです。種苗法の権利期間が18年なのは来年に切れるものまでだったと思うので、それ以降は25年となり、今後さらにパテントが切れる品種がすくなくなります。実のところ、流通して業界の売り上げを牽引しているバラ苗の大半はこのノンパテント商品であり、どんどん広告して高い値段で売られているブランド品ではないのです。2010年ごろは一時、ブランド品種がブームだった時代だったのですが、それも終焉を迎えたようです。
 また、ここしばらく前までは数年ごとに新しい売り方や仕立て方が生まれ、新たな需要を生み出してきたのですが、そういった新たな流れはここしばらくありません。

4.庭などにバラを使わなくなった
 自分の所ではバラだけでなく、山野草や宿根草も生産しているのですが、こういったものが個人庭に使われる量が増えた一方、バラの工事用の苗注文はほぼありません。ガーデニングブームの流れの時はバラを個人庭でもよく使ったのですが、今はあまり使わないという事だと思います。

5.SNSの発達
 バラ公園が増えたこともありますが、SNSの発達でバラは公園などで写真を撮ってアップするだけで満足してしまう人が増えたと思います。我々はバラ苗生産ですから、それぞれが苗や鉢花を買って育ててもらわないと成り立たないのですが、これも時代の流れでしょうか。
 また、これはバラに限らず園芸全般に言えることですが、植物の栽培はそれなりに時間が拘束されます。特にバラは虫や病気も多く、手間暇がかかる植物なので敬遠されがちな気がします。

 まだいくつか考えられますが、こういった要因が複雑に絡んでいるようです。
 バラの苗だけでなく、切り花の方もバラは低迷しているようですし、基本的には切り花が売れないときはミニバラも鉢花も売れないのでバラ業界全体の問題かもしれません。

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