2020年8月4日火曜日

TRPGのゲームバランスとレベルデザイン

 TRPGは宴会に近いところがあって、システムは料理のジャンル、シナリオは料理のレシピ、GMは料理人兼宴会の主催者、PLは宴会の参加者みたいなものです。
 宴会の参加者は料理の味を楽しみたい人もいればその場の雰囲気を楽しみたい人もいるので、参加者全員を喜ばせようと思っても、そもそも客達がその宴会に何を求めているかがある程度同じでないとなかなか難しいということになります。
 また、シナリオはあくまで基本のレシピなので、参加者の好みに合わせて調理人であるGMが調整しないといけません。レシピ通りだからと言って今回の参加者が美味しいと感じるとは限らないのです。

 最も問題なのは、美味しい料理をずらりと並べれば必ず宴会が盛り上がるとは言えない事です。美味しさを追求して味の濃い料理ばかり出すと最後のメインデジッシュが出てくるころには満腹して盛り下がってしまう事もありますし、美味しい料理でも食べるのに手間取ると料理に集中しすぎて会話が弾まないという場合も起こり得ます。

 個々の料理の味がゲームバランスならコース料理の料理を出す間のとり方や味付けの濃淡のコントラストはレベルデザインと言えます。
 レベルデザインという言葉は自分も最近知った言葉ですが、コンシューマゲーム業界では前から使われているようです。
 自分が経験的に行っていたTRPGの(特にコンベンション用の)シナリオを作るうえでの時間管理やバランスのとり方はレベルデザインの考え方そのものでしたので、TRPGのシナリオ作りでもこの考え方は非常に有効だと思います。
https://jp.gamesindustry.biz/article/1809/18090402/
 やや専門的で判りにくい所もありますが、こんな感じです。この記事のコントラストとコンフリクトの部分がTRPGのシナリオ作りに参考になります。(コンテキストの部分はTRPGではシステムに当たるのでシナリオ作りにはあまり関係ありません。)

 1つ1つの戦闘やイベントのゲームバランスはとっているはずなのになぜかPL達が満足していない場合は、レベルデザインが上手くいっていない場合もあるかと思います。逆にゲームバランスからすれば悪いはずの強すぎる敵(弱すぎる敵)を出したとしてもプレイ全体としてPL達が楽しめているならば、レベルデザインとしては問題ないという事になります。

 
 ちなみにここしばらく推していたゴブリンスレイヤーTRPGはこのレベルデザインを重視してシナリオを作らないと面白くなりません。なにせ呪文や因果点といったブレイクスルーの効果が強すぎて1つ1つの戦闘ではバランスが取りにくいからです。

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