2012年8月7日火曜日

シマトネリコとカブトムシ

最近シマトネリコという木にカブトムシが大発生するという事がたびたび起きている。
昨日の新聞の投稿欄にもあった。しかし、今では異常なことではない。

仕事関係の人から聞くと、ある程度大きなシマトネリコなら毎日数十匹は捕まるらしい。
カブトムシの生息域とシマトネリコの自生地はほとんど一致していない。
シマトネリコは本来沖縄や南西諸島、台湾の植物で、温暖化の進行と爆発的なブームで本土に大量に街路樹や庭木として植えられるようになったのである。シマトネリコはトネリコの仲間としては例外的に常緑樹で、夏の間水分をドンドン上げるため少しでも傷があると樹液が出やすい。しかも成長が早いがため木が柔らかく、カブトムシのあのブラシのような口で容易に削って樹液を吸うことができる。
本来シマトネリコはカブトムシの餌ではなかったのだろうが、カブトムシのほうが適応してシマトネリコを餌として認識するようになったのだと思われる。
後天的な性質を得たというより、シマトネリコの樹液を好む系統が生育に有利な環境になったのだろう。
ちなみに、シマトネリコ以外のトネリコの多くは同じく成長が早いが落葉樹で、夏にはほとんど水が上がらなくなるため、カミキリムシの幼虫にやられることが非常に多いが、シマトネリコは成長早いわりに例外的にカミキリムシの食害をほとんど受けない。どうやら樹液があふれ出ることがカミキリムシが嫌がる原因ではないかと思う。野球のバットに用いられるアオダモは同じトネリコ類だが成長が非常に遅く硬い木なので、あまりカミキリムシは好まないようだ。

カブトムシが増えた理由はもう1つ考えられる。街路樹や庭木の剪定した枝葉を現在は焼却が困難になったため、チップなどにして山積みにしておくことが非常に増えた。カブトムシにとっては絶好の幼虫の生息場所ができている。

シマトネリコがカブトムシに幹を削られて困っている人がいるようだが、そもそもシマトネリコは人間が本土に持ち込んだものなので、人間のエゴでしかない。

シマトネリコを大量に植えることは生態系のバランスを壊しかねない。しかし、もともと日本にもある植物なので特定外来生物としても排除されることも無い。以前はシマトネリコは名古屋近辺でも冬の寒さで小さな苗は枯れるため、人間が制御できたが、今では自然に増殖するようになってきてもはや制御不能になってきている。
森の植生が変わり、生態系が崩れて大騒ぎするにはまだ数十年かかるだろうが、大騒ぎする頃には手遅れになるに違いない。
カブトムシの大量発生はその予兆かもしれない。

1 件のコメント:

  1. 隣家のアオダモ?トネリコ?は幹回り20cm 程度の若木ですが、今年はカブトムシが大量にやって来ます。子供達ははしゃいでますが、やはり、違和感のある光景ですね。

    返信削除