2017年10月28日土曜日

Pathfinderゲームマスターガイド4 -シナリオ1-

4-1.導入
 コンベンションでは時間短縮ができるところは、できるだけ時間を節約する必要があります。ですから、まずPCは最初からパーティを組んでいる状態からスタートするのが無難です。少なくともこのゲームではPC全員でパーティを組んで遊ぶので、最初から組んでいても問題ないでしょう。
 まずは、シナリオの導入法です。導入法は基本的に「依頼」「自発的」「巻き込まれ」の3種でしょう。 この3種の複合的な導入も可能ですが、導入そのものに時間が必要になるのでコンベンションではシンプルな導入で良いと思います。

a.依頼
 典型的なお使いシナリオです。○○を取って来てくれ、○○を退治して欲しい、○○を助けてほしい、護衛してほしい、輸送してほしいといった便利屋仕事です。
 RPGはお使いばかりだと言われたりすることもありますが、冒険者にとって依頼を受けることで報酬を得るというのは少額ですが確実に利益を稼げる手段なので、仕事の中で一番多くて当然でしょう。とはいうものの、依頼主は貴族や王族といった資産家か神殿や魔術師ギルド、元冒険者などでもなければ依頼料は冒険者からすると仕事の割に合わないことになります。一般人の生活費から考えると冒険者の散財ぶりは桁違いであり、金銭感覚が一般人とはまるで違うからです。一般市民から冒険者の価値観で依頼料を取ろうとするのは無理な話であり、慈善活動と割り切るか、こづかい稼ぎ程度だとおもうか、他の仕事のついででもなければ依頼を受ける気にならないでしょう。
 もし組織に所属しているなら組織からの依頼という形にすればいいので非常に簡単です。それでも報酬面で問題が起きる可能性はあります。
 コンベンションのシナリオでも目標がはっきりしやすく使いやすい導入です。ただし、報酬などでもめかねないので、「すでに依頼を受けており、前金を貰った状態が開始時の所持金」という事にしておくと良いです。
 コンベンションではなく、仲間内のキャンペーンの場合、PLがその依頼を拒否する可能性もあります。拒否した場合にもシナリオを進められる方法を考えておく必要があります。あるいは、他のメインのついでの仕事として依頼を受けるサブクエストとして用意するのが妥当です。

b.自発的
 財宝のありかを記した地図を手に入れたから探しに行こう、などといったキャラクターが自発的に冒険に出るという導入です。一攫千金を狙ったり好奇心旺盛な冒険者ならではの導入と言えます。
 コンベンションではPLの意思関係なく「冒険に旅立つ決意した」というところからでないとゲームが始まりません。RPGでは一般的な導入なのですが、どちらかというと日本人は自発的に動くのが得意ではないらしくこういった導入が成り立ちにくいのが難点です。
 キャンペーンでは自発的に行動してくれるPLが多いとシナリオ進行で悩む必要がなく、GMはとても助かります。

c.巻き込まれ
 トラブルに巻き込まれて否応が無しに強制的に話が進む導入です。ストーリー性が高くドラマチックな展開を演出しやすいためか、日本人好みの導入と言えます。
 しかしながら理不尽な展開になりやすいので、自由な行動を好むPLには嫌われます。
 コンベンションでの導入法としてはゲーム開始時にクエストを受けていない状態でも問答無用にシナリオを始められるため、扱いやすいと言えます。
 キャンペーンではGMの自己満足にPLが振り回されることになるため乱用は避けたい所です。話を引っ張りたいここ一番で使います。

4-2.情報取集
 戦闘が花形のゲームですが、情報収集も重要な役割を持っています。情報収集を得意とするコンセプトのキャラクターがいる場合はより重視しなければなりません
 このゲームにおいて事前の情報収集とは現在でいうなら旅行に行く前に交通機関や目的地の気候や地理情報について調べたりといった行為と同じです。現代はインターネットという非常に便利なものがありますが当然ながらPFの世界にはありませんし、そもそも人類未踏の地へ行くのであるなら現代であったとしてもネットで調べれば判るような内容ではありませんから、地道に足で稼ぐ必要があるのです。
 どれくらい情報公開をするかはGMのさじ加減ですが、目的地の場所(これ判らないと話が進みません)、気象条件や地理的条件、生息するモンスター、歴史的背景、関連する組織やNPC、関連する魔法の品や遺留物などの情報を集めることになります。
 以下の情報収取のルールは独自ルールを採用しています。自分なりのルールを考えてみても良いと思います。

4-2-1.情報収集に使用する技能
 情報収集でよく使用する技能は〈知識:各種〉〈交渉〉〈生存〉〈言語学〉などです

〈知識:各種〉
 ある特定の情報に関して自分が知識を有しているかどうかを表します。細分化されていますが使用頻度は高く、情報を集めるのに時間を必要としないため情報収集には非常に便利です。
 知識技能でも詳しく調べたいなどの場合によっては調査に利用できることにしてもよいでしょう。その場合は他の行動同様に1d4時間必要とします。

〈交渉〉
 自分が知らない情報を町の人などに話を聞いて集めるのに使用します。詳細な情報について聞き込みをするならば必須です。基本的に1d4時間の時間が必要です。

〈言語学〉
 古い文献などの書物から情報を探し出すのに使用します。ウィザードかバード以外がこの技能を高めていることは少なく、この技能によって得られる情報は他の手段でも入手できるようにしておいた方が良いでしょう。文献調査という事からすれば時間が必要であり、これも1d4時間時間を費やすことにしても良いでしょう。

〈生存〉〈知覚〉〈真意看破〉〈威圧〉〈隠密〉〈軽業〉〈変装〉など
 他人から聞くといった基本的な情報収集作業ではなく、実際に自分の足で稼いで情報を集める場合はこういった技能も必要です。場合によっては単なる情報収集の域を超え、探索活動になってしまうかもしれません。単独行動になりやすく実時間がかかりやすいため、シティアドベンチャーをメインにしていない限り、ゲーム処理上できるだけ簡素に処理した方が良いでしょう。

〈職能〉〈芸能〉〈制作〉
 これらの技能が直接的に情報収集に使えるかどうかは疑問ですが、関連知識であれば判定に使用できても良いと思います。
 また、〈芸能〉であれば、街中で歌を歌いながら人を集めて話を聞き出す、といった風に〈交渉〉の代わりに使えても良いでしょう。

4-2-2.判定への修正と出目10
 それぞれの技能には判定への修正が記述されていますが、情報を集めるのに時間を要する判定では特定の情報に絞ることでより精度の高い情報が得られるようにしても良いと思います。条件を絞り込んだ場合判定に+5のボーナスを得ます(その代わり絞り込みが的外れな場合は自動的に失敗します。)
 また、〈職能〉による判定や該当以外の〈知識〉でも多少は関わりそうだと思うなら代用判定として、-5ペナルティで判定してよいことにしてよいでしょう。これは技能が細分化されており、多くの技能に割り振ることが出来ないため、できるだけ多くのPLに判定するチャンスを与えたいためです。少々こじつけであってもPLから進言があれば寛容に認めても良いと思いますし、内容によってはペナルティなしで判定させても良いです。
 また、一般的に情報収集は危険を伴わないため出目10を積極的に活用しましょう。

4-2-3.支援
 自分が知っているかどうかの〈知識〉以外の時間を要するほとんどの判定では他のPCが支援することが出来ます。支援しているキャラクターは主となるキャラクターとともに行動していると扱います。

4-2-4.情報収集以外の行動
 他のPCが情報収集している間に買い物など他の行動を行いたい場合もあります。これらの行動を行うのにも1d4時間かかるものとします。

4-2-5.情報収集時のゲーム内時間管理
 思い出すのに使用する〈知識〉判定以外の行動は基本的に1d4時間を要します。また、1日で活動可能な時間は基本的に8時間とします。判定や行動を行う前に、その行為に要した時間を決定し、この時に残り時間が不足した場合は時間切れで行動が行えなかったものと扱います。たとえば買い物をしようとしたらお店がすでに閉まっていた、などとなるのです。
 呪文などによってPC間の通信手段がない限り、別々で行動していたキャラクター同士が合流して情報を交換するには集合地点で待機して待ち合わせる必要があります。例えば別々で行動していた2人が合流しようとする場合、1人は3時間で済んだのに、もう1人が4時間必要とした場合、3時間の人が合流地点で1時間待機しなければいけません。
 また、特定の情報に絞ることでより精度の高い情報が得られるようにしている場合、情報収集を無制限に時間を費やせることにするとあらゆる事が情報収集で判ってしまうので、情報収集に費やせる時間や日数に制限を設ける(あるいは時間を費やせば費やすほどペナルティがつく)ようにします。直接的に言わなくても、もともとクエストそのものが急がなければならない状況にしてあればPLは何日も時間を費やそうとはしないでしょう。

4-3.最初の戦闘
 ゲーム開始から全体の時間の1/4くらいまでの間(大体ゲーム開始から1~1.5時間)くらいまでにできれば1回目の戦闘が起きるようにします。導入として最初から戦闘しても良いですし、情報収集の一環でもよいですし、目的地へ行く途中や目的地の入り口でもよいでしょう。もちろん戦闘にはPC全員が参加できる状況出なければいけません。
 この戦闘はPLの熟練度やキャラクターのコンセプト・強さを調査する戦闘でもあり、比較的弱い敵多数といった戦闘が扱いやすいです。また、敵の能力も比較的オーソドックスで、どのようなキャラクターでも勝負になるような敵が無難です。
 ここで極端に苦戦するようであれば、午後からの戦闘では敵(主にお供の数)を調整する必要があるかもしれません。

大体ここまでで昼食が取れるようにします。

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