2017年10月13日金曜日

Pathfinderゲームマスターガイド1 -事前準備-

 自分がコンベンション(というかTRPG)から事実上引退してから6年ほどにもなりますが、その間にPathfinderも結構サプリメントも増えて、日本語化の兆しも出ている中でなかなかPathfinder の新たなGMのなり手がいないような感じもします。
 多数存在する公式シナリオは現状では英語ですし、シナリオを自作するのは結構大変な作業であるので判らなくもないです。もしかしたらGMは上手くできて当たり前みたいな感じになってしまっているのかもしれません。しかし、経験を積まなければ上手くなれないので少しでもその気がある人はどんどん挑戦してほしいものです。
 
 おそらくコンベンションでGMをすることはもう無いでしょうから、自分がGMをしていた経験からいくつか参考にになったらな、と思って久しぶりにPFの記事を書いてみようかと思います。今回はシナリオ作成というよりはコンベンションでのプレイを前提とした話を考えています。

1.レギュレーションの設定

 1-1.使用ルールの選択
 特にコンベンションでのプレイで言えることですが、使用ルールは少ない方が好ましいと思います。使用ルールが多すぎるとデータに追われてゲームに集中できなくなりがちです。使用ルールは
Core Rulebook、Bestiary、(Game Mastery Guide)
もしくは
Core Rulebook、Bestiary、(Game Mastery Guide)+ Advanced Player's Guide、Bestiary2
のいずれかの構成をお勧めします。
(追記:熟練者が参加者にいる場合は全くの最小限より少しだけ追加ルールを入れた方が良いかと思います。)

 個人的には基本ルールのみでも特徴ルールは採用することを推奨します。特徴は単にキャラクターを強くするためのルールではなく、キャラクターの役作りや冒険に出る動機づけのためのフレーバーテキストが役立つルールなのです。

 ちなみに、現在はPathfinder Unchainedというルールブックで一部のクラスが再定義されていますが、こういった追加データを使うかどうかを決めるのはGM自身ですので、自分で十分把握していないと思うなら使わないときっぱり決めて良いのです。

 もちろん、多数のルールを採用するハイパワーなセッションをするのがダメなわけではありません。ですが、GM自身が採用する追加ルールのほとんどを記憶しているくらいで無ければルールの参照だけで限られた時間が費やされてしまいかねません。

 1-2.キャラクター作成ルールの選択
 まず決めるべきはプレイヤーキャラクターのレベルです。2~6レベルくらいが遊びやすいでしょう。1レベルではアンラッキーによる事故死が多いですし、9レベルを超えると呪文などにより、GMの予想もしないような展開になる可能性が高いです。

 能力値の決定方法ですが、コンベンションでは遊ぶ時間に制約があるのでキャラクター作成は事前作成もしくはGMによるプレロールドキャラにしなければなりません。いずれにしてもその場でキャラクターを作成するわけではないのでダイスを振って決めることが出来ません。したがって能力値購入制を使います。やや強めのキャラクターになりますが20ポイントにすると不満のないキャタクターが作れるでしょう。(10レベル以上のハイパワーなシナリオなら25ポイントをお勧めします。)

 レベル上昇によるHPはHDの半分+1(D10なら6)とすると良いでしょう。

 1-2-1.プレロールドキャラを利用する場合
 初めて遊ぶPLを受け入れる卓や、コンベンション当日にPLを受け入れる場合はプレロールドで行います。
 プレロールドの場合、遊びやすくルールの少ないキャラクターをGMが自ら事前に作っておく必要があります。ファイター、ローグ、クレリック、ソーサラーをメインに、PL受け入れ可能人数+2人分を作成しておきます。受け入れ人数より多めに作るのは、最後に選ぶ人にも選択の余地を作るためです。もっとも、役割分担を考慮すると選択の余地がほぼないのが現実ですが、一応余分に用意しましょう。
 特徴ルールを使用する場合、キャラクターを選んでから個別に選択してもらっても良いですし、各キャラクターごとにすべて決定しておいてもよいです。

 1-2-2.事前に各PLが作成する場合
 大型のコンベンションの場合、事前に掲示板やメールのやり取りをしてキャラクターを事前に作成するようなことが可能な場合があります。PLにとっても個性的なキャラクターが作れゲーム開始から十分キャラクターの能力を把握しているので、一般には好まれると思います。ただし、GMはいくつか注意が必要です。
 レンジャーの得意な敵や特定の敵種に特化したようなキャラクターの場合、シナリオとミスマッチした場合にとても残念なことが起きます。(逆にマッチしすぎて無双状態になるのも良くありませんが。)それを避けるため、ネタバレしない程度に登場する敵の傾向などを提示しておいたほうが良いでしょう。また、作成したキャラクターはGMが完全に把握する必要はありませんが、キャラクターの方向性は確認しておくべきです。
 場合によっては作成したキャラクターの傾向に合わせて、敵や罠を調整する必要があるかもしれません。プレイヤーキャラクターにシナリオを合わせるというのは、本来ならこのゲームのセオリーから外れることかもしれませんが、ゲームを楽しんでもらうためには仕方のない事かとは思います。
 特徴ルールを使用する場合、2つのうち1つは自由に選択させ、1つは今回のシナリオ用の特別な特徴を人数分+α準備し、選んでもらいます。

 1-3.消耗品に関する特例
 コンベンションなどのような単発シナリオでは魔法の品の消耗品が非常に有効です。むしろ効果的過ぎてゲームバランスを崩してしまう可能性があります。魔法の品の消耗品の多くはキャンペーンであれば切り札的な使い方が一般的で、比較的安価なワンドなどを除けば乱用することは現実的ではありません。
 そこで消耗品は価格5倍(もしくは価格は基本価格でチャージ回数1/5)とします。例外としてウィザードやウィッチが呪文習得するために必要としたスクロールは基本価格のままとします。
 このルールを適用すると魔法の品の消耗品は非常にコストパフォーマンスが悪く、せいぜいワンドくらいしか使い物にならないでしょう。GMの判断ですが、好みで2~4倍(チャージ回数1/2~1/4)にしても良いです。消耗品が安ければ安いほど派手な戦闘に、逆に高いほど各自のキャラクター固有能力が生かされます。

 
 1-4.世界設定と信仰 (追加)
 このシステムには公式ワールドとしてゴラリオンという世界設定が用意してあります。この世界は魅力的ではありますが、こういった世界観に関しては無料で配布されていないためprdjには存在しません。プレイヤー全員がゴラリオンの世界観を理解しているのであれば大いに利用して構わないのですが、コンベンションのように不特定多数でそもそもPFのシステムに初めて触れる人がいることを考慮すると、世界観に極端に依存したシナリオでは置いてけぼりの人が出来てしまいますのであまり望ましくありません。
 ただし、クレリックなどの信仰系のクラスは信仰する神を決定する必要がありますので、この神様に関してはゴラリオンの神格を利用すると良いでしょう。(現状英語版しかありませんが)基本ルールには掲載されていますし、prdjのPRD外の項目には神格が掲載されていますのでこれを利用します。この世界の神格は非常にスタンダードで理解しやすい神格が多いです。
 身内のキャンペーンであればオリジナルワールドやオリジナルの神格でもよいですが、コンベンションのような不特定多数の場合は公式ワールドを使用しつつ、知識を共有できる最小限の情報で遊ぶのが良いかと思います。

 次回は時間管理について

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