2017年10月18日水曜日

Pathfinderゲームマスターガイド3 -戦闘1-

 このシステムにとって戦闘は一番の花形です。しかし、ミニチュアのような駒とフロアタイルのようなボードを使用するため、戦闘処理は抽象戦闘のシステムに比べ非常に時間がかかってしまうのが最大の難点です。
 そしてもう一つの問題は、ミニチュアとフロアタイルそのものかと思います。見栄え良くしようと、色々揃えようとすると結構金銭的な負担にもなります。ゲームそのものは簡単な駒やボードでも遊べるので、最初から気合を入れて揃える必要はありません。

3-1.戦闘のパターン
 前回のタイムスケジュールのにも書きましたが、基本的には「最初の戦闘+途中のイベントによる戦闘+クライマックス戦闘」というのがこのゲームでの戦闘になります。最初の戦闘と途中のイベントによる戦闘は30分、クライマックス戦闘では1時間時間を確保しています。4時間のプレイ時間なら戦闘は3~5回程度でしょうから、途中のイベントによる戦闘は1~3回程度となります。これらの複数回の戦闘が単調にならないように、異なる敵種や出現パターンの戦闘を組み合わせて用意する必要があります。

 戦闘のパターンは基本的に

a.弱い敵多数
b.強い敵単体もしくは少数
c.強い敵単体もしくは少数+弱い敵多数
d.敵を倒す以外の目的の戦闘

の4つです。
(以前は強い敵と非常に強い敵を区別していましたが、今回は統合しました)

a.弱い敵多数の戦闘
 PCより弱い敵がPCの人数より多数出現する戦闘です。
 この遭遇でGMが注意すべきはPCの広範囲呪文(ファイアボール)などです。少なくとも初期配置で全滅しないようにできるだけ散開して配置します。
 同じ敵ばかりを用意するのではなく、基本的な前衛に加え、射手や魔術師、飛行クリーチャーのような複数種の敵数種を組み合わせても良いでしょう。
 戦闘の処理を簡便化するために、あまり特殊な能力を持つ敵を多数出さない方が良いです。例えばクラス持ちの人型モンスター(ゴブリンなど)の場合、前衛や射手はファイターやレンジャーではなくNPCクラスのウォーリアにします。なお、過去に記事で書いたことがありますが、NPCクラスの場合、脅威度はクラスレベル-2ではなく、クラスレベル×3/4-1(端数切捨て)とした方がバランスが取れます。例えば6レベルのゴブリンのウォーリアであれば脅威度は4ではなく3になります。
 この遭遇はどちらかというと練習向きの戦闘なので、最初の戦闘に向きます。途中のイベントによる戦闘で使っても良いですが、物量作戦にするか地形効果を利用しないと手ごたえがないかもしれません。

b.強い敵単体もしくは少数の戦闘
 PCと同程度あるいはそれ以上の強さの敵が単体もしくは少数出現する戦闘です。
 この遭遇でGMが注意すべきは、両者共の一発KOの呪文や特殊能力です。もちろん、意図的に一発KOを想定した戦闘であれば全く問題ありません。
 強敵には2種類のタイプがあります。リッチのように防御性能は大したことはないが即死や全滅の危機に陥る呪文や特殊能力を持つタイプと、ドラゴンやジャイアントのように特別特殊な能力は少ないが単純に高いスタミナとパワーを持っているタイプです。
 特に注意が必要なのが前者です。こういった敵は対策が立てられると全く良い所なしで瞬殺されますが、逆にPCを容赦なく全滅させる可能性もあるのでコンベンションで敵として出すのはかなりリスクを伴います。この手のモンスターは知性を持つ者が多く交渉の余地もあるため、敵ではなく中立として登場させるには面白いです。「このモンスターと敵対するのは得策でない。できるだけ交渉で解決したい。」と思わせるのであるなら魅力的な存在です。もちろん、PLによっては戦いたいと思う人もいるでしょうから、戦う時のためのデータは用意しておきます。
 後者の場合は戦闘そのもには比較的問題はありません。ただし、タフなモンスターの多くは何らかの弱点を持っています。その弱点を突かれれば瞬殺されるものだと割り切らなけいけません。
 いずれにしても、スリルはありますが短時間で勝負が決することが多い戦闘ですので、途中のイベントによる戦闘に向きます。むしろ、偵察や情報収集によって敵を確認して一気に勝負を決する、といった戦闘が出来るように仕組んでおくと時間短縮ができます。もちろん、前情報なしで突っ込んで力押しで倒すことも良くありますので、正攻法の正面突破でも倒せるバランスにはしておきます。

c.強い敵単体もしくは少数+弱い敵多数
 aとbの両方を兼ね備えたバランスの良い組み合わせが可能な戦闘です。基本的に多数の弱い敵が壁や後方支援の役割をし、強敵が大技で攻撃するというコンビネーションを取ります。
 この戦闘の場合の弱い敵はあくまで強い敵の大技を出すための時間稼ぎですから、壁役ならある程度タフならばそれほど攻撃力は必要ありませんし、後方支援型の場合は、功撃自体は放置できない脅威であっても、1,2回攻撃すれば倒せる程度の紙耐久でも構いません。
 この戦闘は多くの場合正攻法で戦わなければいけませんし、持久戦になる可能性が高いですので、クライマックス戦闘に向きます。もし、プレイ時間に余裕があるならば途中のイベントによる戦闘に採用しても良いでしょう。
 また、リーダー格の敵を倒した時点でお供は戦意喪失することにして戦闘終了にしても良いです。特に途中のイベントによる戦闘の場合は早く戦闘を終わらせる為にそういった処理をします。

d.敵を倒す以外の目的の戦闘
 敵のパターンはa.b.cいずれの場合も可能ですが、GMがある程度慣れてくると敵を倒すこと以外を目的とした戦闘も出来ます。敵が襲ってくる敵を避けて目的地に達すれば良いとか、矢が雨あられと降ってくる中、複雑な罠を解除すれば突破できるといった、B級映画で見られるようなピンチのシーンを演出する戦闘です。
 一般的な戦闘と比べてやや強め敵を用意したり、次々と増援を沸かせるといったこともできます。この戦闘の場合、PLに「敵を殲滅するのが目的ではない」ということをそれとなくアピールしなければいけませんが、力押しで倒せるようなバランスにしても問題ありません。敵を倒す以外の目的の戦闘だからと言って、(シナリオ的に不都合が無い限り)敵を殲滅することで攻略出来ても良いのです。
 ゲームバランスを取るにはセンスを要しますが、敵を倒すことが目的でないので、非戦闘要員を戦闘で活躍させることも可能です。上手くいけばドラマチックな演出ができますが、失敗するとつまらない戦闘にもなりかねないので実践経験が必要です。
 このタイプの戦闘は途中のイベントによる戦闘に向いています。また、超高レベルのシナリオの場合はクライマックス戦闘にも向きます。超高レベルの場合、呪文や特殊能力のコンボによって単に敵を倒すだけでは即戦闘が終了してしまう事が良く発生しますが、敵を倒す以外の目的の場合の対策が立てられていることは少ないのです。

3-2.シナリオ中の戦闘パターンの組み合わせ
 最初の戦闘+途中のイベントによる戦闘+クライマックス戦闘のなかで、戦闘パターンとその強さを調整しておく必要があります。ここでは敵の脅威度をPLのパーティのレベルから算出し、PLvと表記します。

例えば、戦闘回数が4回であるなら、
 a(PLv-1) → c(PLv+1) → b(PLv) → c(PLv+2)
と設定してみます。
 最初の戦闘はやや弱め、クライマックス戦闘は強めにしますが、途中の戦闘は必ずしも徐々に強くしていく必要はありません。強さにバラツキがあっても良いですし、故意に敵の強さに強弱を付けなくとも異なった敵構成や地形効果を利用した戦闘を用意するだけでかなり戦闘に変化をつけることができます。
 また、シナリオの構成によっては出てきたモンスターが必ず戦うわけではないですし、複数攻略ルートを用意しているなら、敵の出現パターンは何種類も組み合わせがあります。この場合、どのようなルートを通っても似通った戦闘が連続しないような敵を配置しておく必要があります。

 次回も戦闘についての続き。

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