2019年12月14日土曜日

TRPGのルールとモラルの関係

 TRPGはゲームですからルールによって制御されています。しかし、TRPGがボードゲームやカードゲームと違うのは必ずしもルールに縛られているとは限らないという点です。
 この点はゲームより社会学に近いかもしれません。

 PLは常にルールに従わなければいけません。しかし、GMは時にルールを変更したり、ルールを超越した処理をする権限を持っています。そのとき、ルールを超えた処理をする根底にあるのは「皆が楽しめる時を提供する事」です、つまり、GMはPLから全面的に信頼されており、モラルに則って処理しているからルールを超越した行為を認められるのです。

 ゴブリンスレイヤーTRPGの呪文は先に書いたように曖昧な記述が残っています。こういった便利呪文を上手く使う行為は、言ってみれば小道具(呪文)を使った大喜利をしているようなもので、座布団一枚もらえるような行動をとった場合に、モラルに則ってルールを超越した使い方をGMが認めると考えれば良いでしょう。
 そのためにはPLは普段からモラルのある行動を取るべきでしょうし、GMもモラルに則った処理をする事が求められます。普段から「ルール的に間違いないから問題がない」というような発言をするようなPLに対しては認めるべきではないと思いますし、ルールを変える権限を持つGMが「ルール的に間違いないから問題がない」と開き直るような発言をすることは論外です。

 「ルール的に間違いないから問題がない」という考え方はルールやデータが多くなると誰しもその状態に陥ってしまいます。人によって差はあるものの、ルール+モラルの許容量は限られており、ルールやデータが過剰になると精神的な余裕がなくなりモラルが失われてしまうという問題が発生します。ですから、TRPGでは明確なルールは必要だがデータ量はあまり多くないほうが良いと言えるのです。
 ところが、ルールやデータを減らしてもモラルのない行動をしてしまう人も存在します。その人の生まれつきの性格なのかその人が経てきた人生経験が原因なのか判りませんが多くのモラルを持ち合わせていないのです。こういった人はルールで制御しなければ他人と足並みをそろえることは出来ません。ですからこういった人に対しては厳格にルールを処理し、モラルに則ってルールを超越した行為を認めることが出来ないのです。本来ならそういった人は明確にルールで縛られる(交渉要素のない)ゲームで遊んだほうが良く、TRPGには向かないといえます。
 問題なのはそのルール至上主義の思考ですと社会でもルールを闇雲に振りかざして他者とトラブルを起こしやすいということです。社会はルールによって成り立つのですが、ルールだけでは人間関係は上手くいかないものなのです。ルールは秩序であって正義ではなく、モラルの有無とは全く関係ないからです。

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